大手広告会社の社員が過労死した暗いニュースが話題になりました。最近、うちの会社でも労働基準法の準拠について口を酸っぱくして言っています。国も正式に労働改革に乗り出し、それに追随するために、働き方改革などであれやこれやと言い始めている段階です。
これについて、SEは皆口を揃えて言うわけです。「無理じゃね?」
SEの残業の実態
ちまたで噂されている「SE は徹夜サビ残当たり前」の実態について言及したいと思います。勿論、世の中数多くのIT系企業がありますため、その全てに共通する訳ではありませんし、私の経験も少なく一側面からの言葉となります。
私の経験で語りますと、ずばり「残業は多い。サビ残は多少ある」です。ただ、これは今いる部署の話で、他部署の同期に聞くとさらに劣悪な労働環境は存在します。会社内だけとっても労働環境の良し悪しは雲泥の差があると言っていいです。なので、世の中の会社に目を向けると、びっくりするくらいホワイトなIT企業もあるはずです(白目)。
“ブラック企業”という言葉の定義は、それぞれの頭の中にのみ存在すると思っています。私は、自分の会社をいわゆるブラック企業とは捉えていません。なぜなら、残業代が出るからです。なんて低次元で当たり前な発言をさも正当な理由かのように語っているのだろう! と、思ったそこのあなた。間違っていません、おっしゃる通りです笑 ブラック企業なんて存在するし、昨今珍しくもない。下には下がいる、と比べたら底が見えず、全てがホワイト企業(笑)と化してしまうかもしれません。でもやはり、残業代が払われるうちは、まだまだマシな会社と思って勤めております。
SEは研究職(笑)
うちの会社では、SEは研究職扱いです。次世代の技術(AIとか)を研究してビジネスを目指す仕事とかだったら確かに研究職っぽいですが、普通にシステム作ったり導入してる人は研究職とは到底言えないと思います。・・・で、それが? って疑問に感じると思いますが実はここが重要なんです。(SEを研究職として扱うかどうかは会社によりけりだと思います。同じSEでも会社が違えば時間外労働の規定は全く異なります。)
例外的な36協定とは
それで、なぜ研究職について話題にしているかというと、この特別条項付き36協定にあります。その前に法定労働時間から順に説明していきます。まずは法廷労働時間。これは残業時間ではありません。以下はWikiから
第32条(労働時間)
- 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
- 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
続いて36協定。以下は厚生労働省のリーフレットから。※リーフレットって何だろ…。
労働基準法では 1 日および 1 週の労働時間ならびに休日日数を定めていますが、同法第 36 条の規定により時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36 協定」)を締結し、労働基準監督署長に届け出ることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働および法定休日における休日労働を認めています。
要は、残業するなら36協定を締結しなさいよってお話。絵に書いてある通り、原則の時間外労働時間は、1カ月:45時間、1年間:360時間となります。そしてさらにランクの高い例外も存在します。
次の事業又は業務には、チェックポイント2で示した延長時間の限度が適用されません。
① 工作物の建設等の事業
② 自動車の運転の業務
③ 新技術、新商品等の研究開発の業務
④ 厚生労働省労働基準局長が指定する事業または業務(ただし、1 年間の限度時間は適用されます。)
ここで、やっと③に”研究職”というキーワードが出てくるんです。そうです。SEが研究職だと何の都合が良いのか、が見えてきたでしょうか? 特別条項付き36協定として時間外労働の取り決めができるわけです。そしてこの特別条項付き36協定、なんと時間外労働の限度時間の取り決めがありません笑 リーフレットに載っているのは一例であり、こういう風に取り決めを行ってくださいよ~ って事なんです。
例えばこのサイトとかでは以下のように記述してます。
特別延長時間は、「できるだけ短くするよう努める」必要がありますが、具体的に数字で定められた時間限度はありません。しかし、労働者の健康を考えるなら、「過労死ライン」 と言われる80時間(過労死ライン:休日労働を含む時間)が常識的な限界ではないでしょうか。
多分、上限を法律で決めてしまった場合、有事にそれを超える労働を行ったら違法になるからなんでしょうね。だからこういった”特別条項付き”といった条件の厳しい枠組みを設けて、いかなるときも対処できるような仕組みにしているんでしょう。うんうん・・・、とはなりませんがね。
あ、ちなみにうちの会社では
1カ月○○○時間、1年間700時間超 となってます笑 このおかけでサビ残をあんまりしなくて済んでいるのかもしれません(^_^;)
働き方改革実行計画による時間外労働時間の規制
政府が本腰入れて残業大国日本に終止符を打とうとしています。それがこの「働き方改革」なんです。国が動いてきたので、企業も動かざるをえなくなったんでしょうね。
以下が、厚生労働省から出ている会議資料の内容になります。
現行の時間外労働の規制では、いわゆる36協定で定める時間外労働の限度を厚生労働大臣の限度基準告示 で定めている。ここでは、36協定で締結できる時間外労働の上限を、原則、月45時間以内、かつ年360時間以内と定めているが、罰則等による強制力がない上、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して特別条項を設けることで、上限無く時間外労働が可能となっている。
(中略)
週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45時間、かつ、年360時間とし、違反には以下の特例の場合を除いて罰則を課す。特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。
今までは上限がなかった労働基準法に関して、時間外労働時間の上限を明記したのです。今までは会社で取り決めた上限時間を超えても、多分うやむやに言い訳がたつ筋道があったんだと思いますが、この改定案によっていよいよなんかせんとマズい、ってなってきた感じです。
こういった動きが国全体で成され労働環境について問われている事で、今までできてたことができなくなってくる事があります。
労使協定「SEって研究職じゃなくね??」
会社「・・・」
今私の会社の残業時間上限が、暗礁に乗りあげたところなのです。 続く・・・。